【対談企画vol.1】古性のち×梅﨑やすか「瀬戸内かわいい部」はじまりの物語

4月。新しい生活、新しい匂い。

春風が頬を撫でて、心地よい空の下、「何か新しいことやってみようかな」なんて気持ちがむくむく芽生えてきた方も、いらっしゃるのではないでしょうか。


どんなものにも、「はじまり」はあります。

震える足で、ゼロから踏み出す、小さな一歩。

うまくいくかなんてわからないけど、心がそちらに向かうのなら、春という季節を味方につけて。


今回は、そんな、はじまりの日にふさわしく、「瀬戸内かわいい部」がどのように始まったのかご紹介したいと思います。



 古性のち×梅﨑やすか対談企画vol.1

「瀬戸内かわいい部」はじまりの物語


「瀬戸内のかわいいものをもっと発信したい!」

そんな梅﨑泰佳さん(以下、やすかさん)の声を皮切りに生まれた「瀬戸内かわいい部」。


<瀬戸内の魅力的なモノ・コトを、“かわいい”という観点から探し、伝え、育てる>をテーマに歩き出し、今、SNSでの発信やイベント、プロジェクトを通じて、少しずつ、同じ想いを持つ方とのつながりを広げています。

そんな「瀬戸内かわいい部」が誕生したのは、やすかさんとある方との出会いが大きなきっかけでした。


それは、「.colony」や「旅、ときどき仕事」などのコミュニティを運営するかたわら、自分自身も世界中を旅しながら編集者・ライターとして活動する、古性のちさんとの出会い。(以下、のちさん)


「旅、ときどき仕事*1」(以下、旅とき)を通じて、のちさんと出会い、2018年の夏には「旅とき」のメンバーを岡山・倉敷の街にご案内するという経験をされたそうです。そして同じ年の12月には、のちさんは再び岡山を訪れ、今度は1ヶ月間の長期滞在をしてくださいました。


今回は、岡山滞在中ののちさんにもお時間をいただき、2人の出会いはどんなものだったか? やすかさんが、のちさんとの出会いをきっかけに、なぜ「瀬戸内かわいい部」を立ち上げるに至ったのか? そんなエピソードを対談形式でうかがいました。

【プロフィール】

古性のち (こしょう のち)

ライター / フォトグラファー。世界中を旅しながら現地のときめきを集める、蒐集家・編集者。青とお洒落と雑貨好き。2017年の世界一周を皮切りに、年間の半分を海外、半分を日本のどこかで暮らしている。(twitter: @nocci_84)


梅﨑泰佳 (うめざき やすか)

クリエイター。岡山生まれ、岡山育ち。古性のちさんとの出会いをきっかけに、瀬戸内地域のかわいいモノ・コトを発信する「瀬戸内かわいい部」を立ち上げる。(twitter: @yasuka358)


*1 旅、ときどき仕事…のちさんが運営する、働く場所や拠点、モノやコトにとらわれず、旅しながら働くワークスタイルを提案し、実践するコミュニティ



ふたりが最初に出会ったきっかけは?

の:私は、去年(2017年)まで世界一周の旅をしていたのですが、その後、全国で写真の巡回展を行いまして、岡山でも8月に展示をやらせていただいたんです。その会期前日に「旅、ときどき仕事」のトークイベントを開催して、そこにやすかちゃんも来てくれたんだよね。


や:のちさんのことはSNSで知ったのですが、その旅と仕事を両立する生き方にとても惹かれていて。岡山でもイベントがあると知って「これは行ってみよう!」と思って足を運んでみました。直接お会いしたのはそのときがはじめてのことです。

このときのイベント、大盛況でしたよね!会場に行ってみて「こういう生き方に興味がある人が、岡山にもいっぱいいるんだ!」とわかって、びっくりしました。


の:本当に。実はFacebookで募集したときは8人しか参加申込がなかったのですが、当日になったらなんと40人も来てくれて! 岡山ってすごいな、こんなに興味を持って集まってくれる人がいるんだ!とびっくりしました。


ーーーそのときはじめて、やすかさんとのちさんが出会ったんですね。


や:そうなんです。私が「のちさーーーん!!」と勢いよく話しかけたんですが…。


の:もう、その時はとにかく人が多すぎて!椅子も足りないし、ケータリングも8人分しか用意してなかったら全然足りなくて、せっかく話しかけてもらったのに、頭の8割は「ケータリングが…ケータリングが足りない…」でいっぱいで(笑)


や:イベントの最中もどんどん人が増えてましたものね(笑)


の:ほんとうにびっくりするほど大盛況でした。でもそれがきっかけで、「岡山って、可能性のある町だな」と感じるようになりました。


ひとつの動画がきっかけで始まった「旅ときどき仕事、ときどき岡山」


の:その後、やすかちゃんに再会したのは、2018年の夏。


「旅とき」メンバーで「どこか行きたいね」って話していた時期に、西日本豪雨の真備の水害のニュースが流れて…。「倉敷の観光地からも人が激減してる」と聞いて、「ボランティアのように大それたことはできないけど、現地に行って、お金を使うことはできる」と思って、何人かの有志で岡山に来ることになりました。


そのときに案内しますって手を上げてくれたのが、やすかちゃんだったんだよね。


や:のちさんとはじめてお会いした後「こんな生き方もあるんだ!」と興奮がおさまらず、「旅とき」コミュニティの2期メンバーに参加したのですが、結局すぐに仕事仕事の毎日に戻ってしまって…。「ああ、また日常に戻ってしまったなあ」とモヤモヤしていた、そんな頃水害が起こりました。


美観地区は元気なのに観光客が全然いないと聞いて、なにか自分にもできることをしたいと思い、私の会社の人たちにもご協力いただいて「倉敷は元気だったよ」と伝えるムービーを作りました。それを「旅とき」のコミュニティメンバーに向けてアップしてみたら、思った以上にみんなが見てくれて。


の:そこから「旅ときどき仕事、ときどき岡山」が立ち上がって、岡山に来ることになりました。


や:そうなんです! それですぐに「岡山なら、わたしがご案内さしあげます!」と挙手しました(笑)


のちさんが、やすかさんと改めて出会ったときの印象は?

の:「すごくしっかりしてる」ですかね(笑) 当日の行先プランもきちんと立ててくれて、「ここに行けなかったら、こっちに行く!」と、プランBプランCまで考えてくれていて。「なんだかとってもしっかりした人が案内に来てくれたぞ!」と思いました。


ーーーやすかさん、しっかり者ですよね。私も、SNSでの投稿から、ふわっとポエミイな方を想像していたので、初めて会った時はびっくりしました(笑)


や:ポエミイ!?


の:そう。文章がすごくふわっとしていて、やわらかい雰囲気ですよね。

そういえば、この前、違う旅ときメンバーが岡山に来た時も、やっぱりしっかり案内してくれて、その子とも「やすかさんってオンラインの印象よりもなんかチャキチャキしてる!」って話になりました。

  

ーーーそう!チャキチャキ!


や:(笑)


の:というわけで、改めて出会った、やすかちゃんの第一印象は「チャキチャキ」です(笑)


「旅ときどき仕事、ときどき岡山」で、ふたりが歩いた岡山

や:その時のちさんがステイしてたのが奉還町のゲストハウスだったので、まずはその周辺をご案内しました。奉還町は古い商店街が残るエリアなのですが、その中に素敵なお店がたくさんあるんです!

や:たとえば「大東果物店」さんという、ガイドにも載ってないようなお店。そこの白桃ジュースがとってもおいしいんです! 新鮮な桃を丸ごとそのままミキサーにかけて作ってくれるんですが「これは県外から来る方には絶対飲んでほしい!」と思って、まず最初にそこへご案内しました。

の:それから、倉敷美観地区にも行きました。美観地区で印象に残ってるのは、朝立ち寄った戎商店街のお店。あそこの豚汁、おいしかったなあー。

や:三宅油店さんですね。

の:おにぎりとパンが選べる豚汁セットがあるのだけど、それがすごくおいしかった!


や:東京からおしゃれな人が来るから、美味しい天然酵母のパン屋さんをご紹介しよう!と考えていたのですが、あとからのちさんが実は豚汁がお好きと知ってびっくり。ちょっとほっこりしました(笑)

の:ほんとにおいしかったんです。それにまるでおばあちゃんの家みたいな雰囲気で、とても感じが良くて。


や:このとき、印象的だったのは、のちさんの写真へのこだわり!

のちさんが写真を撮る姿をこのとき目の前で見ていたのですが、自然光や角度、ひとつひとつにすごくこだわっていらして…。「なるほど!こうやって撮ってるんだあ~!」「こうやってのちさんの世界観は作られてるんだ〜!」と、見ていてとても勉強になりました。


「旅とき岡山」を終えてから、「瀬戸内かわいい部」が生まれるまで

ーーー「瀬戸内かわいい部」が生まれたのは、まさにこの時の「旅ときどき仕事、ときどき岡山」が大きなきっかけだったと聞いたのですが、そのときのエピソードを聞かせてもらってもいいですか?


や:そう、これが大きなきっかけでした。「旅とき」メンバーに岡山・倉敷をご案内した後、皆さんから「岡山って、いい街じゃん!」と言ってもらえたのがとても嬉しくて。そのとき「この胸の高鳴りをこのまま終わらせたくない!」と思ったんです。今回だけじゃなくて、これからも県外の人をこうしてご案内する活動を続けて行けたらな…って思って。


けどわたしは、車を運転できるわけでもないから、あちこちお客さんをお連れするのは難しくて。じゃあ、今の自分にできて、1番情熱を持って伝えられることってなんだろう?って考えたら、かわいいモノや場所を伝えることだ」ってことに気づいたんです。

や:かわいいカフェや雑貨屋さん、ときめきを感じるスポット、そういうものを探して旅人さんに伝える活動なら、自分も楽しみつつ、心からやりたいって思える! そう思って、「岡山かわいい部」を作ろう!と思い立ちました。


ちょうどのちさんも「岡山に住むかも」とおっしゃっていたので、もしかしたらこういう活動があることで、一緒にときめきを探して楽しめるかもしれない!とも思い報告したら「“岡山かわいい部”だと当てはまる人が限られちゃうかも。 “瀬戸内かわいい部”の方が、広がりがあるんじゃない?」とご意見をくださって。


「たしかに“瀬戸内かわいい部”なら、瀬戸内国際芸術祭にあわせて島巡りだってできるぞ!」と思い、さっそく「瀬戸内かわいい部」に改名して活動スタートしました。だから名付けの親はのちさんですね。


の:あのとき、すごく行動が早かったよね。


や:早かったです(笑)このチャンスを逃したらダメだ思ったので。すぐにTwitterに書き込んで、「瀬戸内かわいい部やります!部長に就任します!」と宣言しました。

や:それから、かわいいものが好きな人が集まる「.colony」というコミュニティの方にもお誘いいただいて、そちらにも参加することにしました。


ーーー「.colony」は、のちさんが運営するコミュニティですよね。どんなコミュニティなんですか?


の:「好き」を再編集しアウトプットする、をコンセプトに活動しているオンラインコミュニティです。


や:このオンラインコミュニティの中に、フォトウォーク部など色々な部活があったので、その中の1つとして「瀬戸内かわいい部」の活動をやれたらなと、最初は思っていました。


―――そうだったんですね!


の:それが、結果的に少し形を変えて広がったんですよね。


や:そうなんです。Twitterを通じて立ち上げ宣言をして、のちさんとも色々相談をしていたら、それを見た現在の運営メンバーから、すぐにリプライをもらって。

誰からも反応なかったら、しばらくはTwitterやInstagramでポチポチ一人で活動しようと思ってたのですが、びっくりしたことにというか、嬉しいことに、思った以上に早く反応があって。そのあとメンバーも増えて、今の形で活動がはじまることになりました。


ーーー「瀬戸内かわいい部」やります!と、やすかさんから聞いた時、のちさんはどんな風に思われました?


の:うーん、なんでしょうねえ。


ーーーこれまでの話をお聞きすると、立ち上げのとき、のちさんの影響力ってすごく大きかったんだろうなって感じたのですが。


の:こんなにふわふわしてるのに(笑)


や:いや、のちさんの言葉や生き方のインパクトはすごく大きかったです。


の:なんでしょう…うまくいえないけど、「やる」方がずっといいですよね。

やりたいことって、待ってても、誰かが代わりにやってくれるわけじゃないですから。


あと、形になるまで待ってるのも、もったいないと思います。

わたしの場合は「英語ができるようになったら世界一周に行く」と言い続けてたんですが、結果的にそれを7年も言い続ける形になってしまって…。仕事が軌道にのったら~とか、英語できるようになったら~とか、タラレバを言っててもその時は一生来ないんだなってことが7年経ってやっとわかったんです。

だから、形になりきらないうちでも、とりあえず出すことが大事かなと。


やすかさんから「瀬戸内かわいい部をやりたい」って聞いたときも、「とにかくやってみたらいいよ」と思いました。70%や80%の完成度でもとにかく出してみて、あとは、やりながら修正していけばいいんじゃないかと思います。


や:最近じっくりお話させてもらう機会が続いてなおさら思うんですが、のちさんの、こういうスタンスや、どんどんいろんなことに挑戦してく姿勢に、私も背中を押してもらったような気がします。


の:ゆるめですが(笑)


や:ふわっと、インパクトがあります(笑)



*photo by nochi kosho / aruteo

*聞き手:瀬戸内かわいい部  みなみ

→次の記事に続きます(4月8日更新予定)

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