【対談企画vol.2】古性のち×梅﨑やすか この町に眠る「かわいい」のかけらを集めよう

【対談企画vol.1古性のち×梅﨑やすか「瀬戸内かわいい部」はじまりの物語】では、のちさん・やすかさん、おふたりの出会いと「瀬戸内かわいい部」が生まれるまでのエピソードについてお話をうかがいしました。


vol.2では、12月に岡山に1ヶ月滞在したのちさんに、実際に暮らしてみての感想をインタビュー。旅人・のちさんの目を通すと「岡山」はどんな景色に見えるのでしょう? 


<プロフィール >

古性のち (こしょう のち)

ライター / フォトグラファー。世界中を旅しながら現地のときめきを集める、蒐集家・編集者。青とお洒落と雑貨好き。2017年の世界一周を皮切りに、年間の半分を海外、半分を日本のどこかで暮らしている。(twitter: @nocci_84


梅﨑泰佳 (うめざき やすか)

クリエイター。岡山生まれ、岡山育ち。古性のちさんとの出会いをきっかけに、瀬戸内地域のかわいいモノ・コトを発信する「瀬戸内かわいい部」を立ち上げる。(twitter: @yasuka358)


「旅とき岡山」から3ヶ月、再び岡山を訪れたのちさん



ーーーのちさんは、「旅、ときどき仕事」*1のメンバーと岡山を訪れた後、もう一度岡山に来てくださって、今(2018年12月現在)市内で暮らしてらっしゃるんですよね?

*1 旅、ときどき仕事…のちさんが運営する、働く場所や拠点、モノやコトにとらわれず、旅しながら働くワークスタイルを提案し、実践するコミュニティ


の:はい、11月15日から12月15日までの約1ヶ月、西川原のマンスリーマンションにお世話になってました。洗濯機がない部屋を選んでしまったので、コインランドリーを求めて、ガラガラに洗濯物を入れてよく街を歩いています(笑)


や:(笑)

そういえば、この前オーストラリアの友人が来た時も、ホテルにランドリーがなくて、コインランドリーを求めて町を彷徨ってました。あと、夜中にメールが来て「やすか、この洗濯機は乾燥までできるの?」って(笑)英語表記がないからわからなかったみたいで。


ーーー英語表記、岡山はまだまだ少ないですよね。


の:でも海外の人の姿は多いですよね。この前、岡山~台湾を飛行機移動した時には、行きのフライトはそうでもなかったのに、帰りの台湾から岡山行きの飛行機は、7割ぐらいが台湾の方でしたよ。


や:ええっ、そんなに!?


の:お隣の席が台湾の方だったから「岡山には何しに行かれるんですか?」って聞いてみたら、どうも最近、台湾で岡山が流行ってるらしくって。


や:流行ってる!?いったい何が?


の:桃太郎とか…?


や:桃太郎!?


の:そう。グッズが欲しいっておっしゃってましたね。台湾でも(桃太郎の)マスキングテープなんかも売ってるらしくって。もしかしたらその方の中で流行ってるだけかもしれないので、信憑性はないけれど…(笑)


のちさんが、岡山に長期滞在してみようと思ったきっかけって?

の:旅して暮らすようになって2年経って、ちょうどほぼ全国一周したタイミングだったのが1つ。


あと、2年くらい前から旅して暮らすようになり、海外や日本全国をふらふらするようになったのですが、その中でも特に岡山に魅力を感じたんです。


全国を巡礼する写真展「まるで呼吸をするように旅をしていた」(https://non-kosho.goat.me/)で1週間ほど滞在させてもらった時に、「この県、嫌なところがないなあ」って思いました。

  

散策してみると、変わった色使いの建物やおもしろい看板がたくさんあって「歩いてて楽しいな、この町」と感じられて。一度お試しで住んでみて本当にいいなと思えたら、これからの拠点にするのもいいなと思って、一度住んでみることに決めました。


岡山はなんというか…飾らないおしゃれな町って感じがして、いいですよね。


や:それって、どんな感じですか?


の:表参道とか京都とかは、すごくおしゃれで素敵なのですが、ちょっと緊張するな、って感覚で。岡山には、そういう街とは違う、ささやかなおしゃれがあると思います。


ふだんは気づかないけど、よくよく見るとおしゃれな建物とか、レトロなお店があったり。広々とした川が見える、テラス席がきもちいいカフェとか、素敵なところがたくさんありますよね。でも、そういうささやかなおしゃれなものに、まだみんな気づいてないなという感じがします。


岡山は、ときめきが隠れてる「宝探し」みたいな町

の:岡山は、地元の方も気づいてない、まだ眠ってる“ときめき”がいっぱいある、宝探しみたいな町ですよね。


やすかさんと町歩きしてお店の人と話すようになって、みんな第一声で「岡山なんもないっしょ?」と言うけど、すてきなもの、おもしろいもの、いっぱいあると思います。


や:私もそう思います! かわいいお店や素敵な場所が、本当にいっぱいあると思うんです。


の:実は、私の人生において特にお気に入りのブランドが、岡山にあって。

Johnbullさんっていうんですが、この前問屋町*2 を歩いてた時、東京にもないような大きな店舗を見つけまして。


ーーーどんなブランドさんなんですか?

の:きれいめと個性派の間のように感じてます。メンズもレディースもあるブランドさんで、デニムの商品がかなり多いなあと思っていました。普段は東京の表参道店に足を運ぶことが多かったのですが、本店は岡山にあったんですね。驚きました。


や:ああ!児島のデニム!


の:そう。サロペットなんか、もうすごく可愛くて、ついつい何種類も揃えてしまいます。「Johnbullさんがあるなら、岡山、住める!」と思いました(笑)


*2問屋町…岡山県岡山市北区問屋町。名前の通りかつては問屋業の町として栄えたエリア。当時の倉庫跡地を活用した、カフェ・雑貨屋・アパレル・インテリアショップなどが最近増えはじめ、魅力的なお店や人が集まる場所として注目を集めている。


 岡山には、まだ秘密がある

の:さっきの宝探しの話に戻るけど、いろんな家やお店をガチャガチャあけて、大事な情報を探してく感じって、なんだかRPGに似てませんか? で、時々「こんなとこに秘密の喫茶店!」みたいなのがあって。ラスボスみたいなおばあちゃんがすごい情報を持ってたりとか…


や:ラスボス!(笑)


の:東京は、そういうときめくお店や場所の情報を探すのが上手な人が多いし、発信するメディアも多いから、自分で探さなくてもどんどん情報が手元に入ってくるけれど、岡山には、秘密の宝の地図を隠してるキーマンが、まだいっぱいいる気がします。


や:発信する人は、東京に比べたら少ないですよね。


みんな、素敵なところを知っていても自分の中にそうっと隠してて、あまり外では言わないから、自分とその知り合いしか知らないままってことがよくある気がします。


車社会なのもあって、ひとつひとつのお店が1日で巡れる距離にないことも多いから、東京みたいに「カフェ巡りが趣味です」って子も少ないし。情報が個人の中にとどまっちゃってるのかな…。


の:岡山のみんなには、まだ秘密がある気がしますね。


や:「この町には秘密がある」(笑)


「この町には何もない」という「呪い」から解かれて

や:わたし、のちさんたちが岡山に来るまで、「この町には何もない」と思ってたんですよ。 でもみなさん「来てみたらすごくよかった!」って言ってくださって…。


それを聞いたとき、最初は「またまた~!」と思ってたけど、のちさんとこうしてお話すると、具体的にあんなところがいい、こんなところがいいって教えてくださって「あれっ、わたしの住んでた岡山ってそんないい町だったんだ!」と思うようになりました。


今までは「この町には何にもない」って言われて育ってきたから、そうインストールされちゃってて。「何もない」っていう“呪い”にかかった状態だった。だから、のちさんに会って、それを解いてもらったような感じでした!


の:そう言ってもらえると嬉しい!町の方も「こんなとこ遊ぶとこないじゃろ?」ってよくおっしゃるけど、むしろわたしは「いや、遊ぶとこしかないよ!」と思うよ。



「かわいい」は、きっと遊び心やゆとりがある場所で生まれるから


の:台湾に行ってる間にも話してたんですが、“ときめくもの”とか“かわいいもの”とか“おしゃれなもの”って、人生に必ず必要なものではなくって、遊び心っていう余白からできてると思うんですよね。


や:遊び心かあ。


の:東京は、良くも悪くも洗練された町だなあと感じていて。洗練された景色がもうできあがってしまっていて、新しく入り込む余地が少ない感じがするんです。


でも、岡山には、遊び心を受け入れてくれる余白が、町中にたくさんある感じがします。だから、きっと、この町にはかわいいものが生まれやすいんでしょうね。


表町商店街にある恐竜とかも、おもしろいなあって思います。

表町商店街の恐竜。プテラノドンもいる。


や:ほんとですか!? わたしは「は~なんか恐竜できとるわ~~。」としか見てなかったです。


の:受け入れる力が高い(笑)

東京だと、ああいう恐竜も、何かの宣伝のためとか、有名な人の作品ですよとか、意味や目的が必ずついて回るけれど、岡山には「誰がなんのために作ったのかわかんない、けどなんかある」ってものが、まだまだ残されている気がします。


そういう、遊び心や心のゆとりのある場所には、かわいいものやおしゃれなものが生まれやすいんじゃないかなあ。


岡山のクリエイターさんってセンスいいなって感じることが多いけれど、町のそういう部分に触れてるから、無意識にセンスが育つのかな?なんて思います。



―――のちさんが岡山で暮らしてみて、具体的に「かわいい」とか「センスいいな」って感じた場所って、どこかありますか?


の:よく行くのは、倉敷の林源十郎商店さんですね。小物を買いによくお邪魔してます。

あとは、岡山市内だと、出石町のCCCSCDさんですね。


―――CCCSCDさんはどういう場所なんですか?


の:出石町にある、カフェとデザインストアとギャラリーが1つになったお店です。デザインプランニングをトータルで請け負う会社が運営されているだけあって、内装がすごくおしゃれ。面白い展示もよくされている印象です。


この前は、きびだんごのデザインをされている「KOTYAE」(http://kotyae.com/)さんの展示をされていて、それがとても面白かったです。


ーーーCCCSCDさんの展示や、運営のcifakaさんの作るデザインはどれも素敵ですよね


や:ほんとうに。街中で「これいいな」と思ったチラシが実はcifakaさんのデザインだったってことが、私すごく多いんですよ。


「岡山神社 蚤の市」のチラシとか、普通に作ると伝統的でちょっと古めかしい印象になりそうな告知物も、すごくおもしろくかわいい雰囲気に見せてくれるんですよね。


岡山後楽園の「夜間特別開演 幻想庭園」のチラシもそうですね。明朝体っぽいオーソドックスなチラシと、扇型に加工されたチラシの2種類を後楽園で見かけました。片方は伝統的なデザインだけど、片方は、今までの後楽園のイメージと違う、すごく現代的でおしゃれなイメージでイベントを表現していて。

デザインをこうして変えることで、老若男女いろんな方に情報をお届けできそう!と勉強になりました。


最後に、お互いへのメッセージや、これからの意気込みをお願いします


―――のちさん、やすかさん、おふたりとも今日はお時間いただきありがとうございました。「瀬戸内かわいい部」が生まれるまでのエピソードや、のちさんの目を通じて見えた岡山の景色、たくさんお話をうかがえて嬉しかったです。


それでは最後に、お互いへのメッセージをお願いしてもよろしいでしょうか?


や:じゃあわたしから。のちさんが教えてくれた瀬戸内のかわいさを、これからもっと伝えていこう!と思います。


の:わたしからは…「無理せず、ゆっくり」かな。きっと、「頑張る」ことよりも、ゆっくりでも「続けてく」ことがだいじだと思うんです。 


誰も何も見てくれない時期もあると思うけど、続けていると、いいことがあるはずだから。


や:長く、ゆるくかあ。

…おばあちゃんになったとき、居心地よく過ごせる場所を作れたらいいな。


の:ああ、それ良い!

きっと、ちゃんと同じ場所でやり続けてることで、いつかいいことがあると思うの。


これもまた最近話してたのだけれど、「旅祭」で最近わたしや伊佐さんに登壇の依頼が来るようになったのって、わたしたちが特別すごいからじゃなくて、ただ続けて来たからだと思うんです。


だから、やめないこと。いけいけどんどんより、細く長くゆるくでも、続けてくことがだいじだなって思います。


長く、ゆるく、続けてください。


―――お二人とも、今日はありがとうございました。


のちさん、岡山のかわいいところ、いいところを、たくさん教えてくださってありがとうございました。

次の旅先でも、素敵な出会いが待ち受けていますように!


のちさんからいただいた言葉をヒントに、「瀬戸内かわいい部」では、これからも岡山や瀬戸内に眠る“ときめき”を、どんどん探していきたいと思います。


*photo by nochi kosho / aruteo / yasuka umezaki

*聞き手:瀬戸内かわいい部 みなみ


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